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【台本プレビュー】DS3話「キスミン」

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↑仮動画です。

仮動画と台本では異なる点が多数ありますが以下に記す台本の文章が正しいです。

 後半は私自身の声が入りますが演技も下手ですし一発録りで読み間違いも多いです。演じ方も読み方も全く参考にしないでください。あくまでも雰囲気とストーリーの流れ程度の把握にお役立てください。

 

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配役ごとに文字の色分けをしたデータは下のリンク(google document)からプレビューできます。

docs.google.com

 

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DIAMOND SWING  3話台本

 

▶朝食のあと、ビータは大きな大理石のテラスに出て物珍しそうに目の前の景色を眺めた。

ダイヤモンドの山から8キロメートルほど向こうに高くそびえ立つ崖に至るまで谷全体に金色の霧が漂い 美しい景色に溶け込んでいた。

ピータが見ていると近くから三匹の仔鹿(こじか)が飛び出してきて、優雅に跳ねながら薄暗い木々の中へ楽しそうに姿を消すのだった。

爽やかな期待に満ちた気分でピータは大理石の階段を下り、眠っていた毛並みの良いウルフハウンドの眠りをちょっと騒がせた。それから、特にどこへ導くとも知れない白と青の煉瓦の道をぶらぶらと歩き始めた。

 

▶この上なく良い気分だった。

現在に生きられないことは青春というものの欠点でもあり至福でもあった。

青年は常に光り輝かんばかりの未来の夢と現在とを比較して考えずにはいられない。

花と黄金、乙女と星々、それらは比較を絶し、けっして成就することのできぬ若き日の夢の原型であり、期待である。

 

▶ピータは薔薇が密集する庭園を横切って、木々の下に苔(コケ)が生えている一画のほうへ歩みを進めた。

その時、ふと見ると、ひとりの少女が芝を踏んで彼の方へやってくるところだった。見たこともないほど綺麗な少女だった。

 

▶彼女の歩みにつれて、ピンクのはだしの足の下で露が散った。彼女はピータより若かった。せいぜい16歳くらいだろう。

 

K「おはよう。わたし、キスミンっていうの」

 

▶ジョンにとって、既に彼女は「キスミン」などという一人の女性ではなかった。

彼女のほうに進みながらも、近づくにつれて、そのはだしの爪先を踏みつけやしないかとほとんど立ち止まりそうになってしまうのだった。

 

K「まだお会いしてなかったわね。」

 

▶その優しい声が言った。

それから彼女の青い目がこう付け加えた。

 

『おかげであなたはずいぶん損をしたのよ』




「昨夜 姉さんのジャスミンには会ったんでしょ?わたし、レタスの毒に当たって寝てたの。」

 

▶それからまた目が言った。

 

『わたし、病気の時だって綺麗なのよ?もちろん元気な時も!』



P「はじめまして。今朝は気分はどう?良くなっていればいいのだけど」

 

▶それから彼の震える目がこう付け加えた。

 

P『愛しい君よ』

 

▶気がつくと、二人は並んで小道を歩いていた。それからキスミンの提案で二人は苔(こけ)の上に腰を下ろした。

 

K「東部からいらしたの?」

 

P「いや、ハデスさ。」

 

(キスミンはハデスの事について話で触れないように話を逸らす)

 

K「えっと、わたし秋になったら東部の学校へ行くことになってるの。わたし学校を好きになれるかしら?

ニューヨークのミス・バルジの学校よ。とても厳しいんですって。でも週末はニューヨークの家で家族と過ごすことになってるの。お父様から その学校では女の子は二人連れで歩かなければならない規則になってるって聞いたからなの」

 

P「お父さんは君たちに誇りを持ってもらいたいんんだね」

 

K「うちのものはみんなそうよ!(自慢げ)

私達 罰を与えられたことは一度もないの。一度 姉さんのジャスミンが小さかった頃 お父様を階段から突き落としたことがあったわ。だけどお父様は立ち上がるとそのままびっこを引いて言っちゃったの。

お母様はね、あなたがその、あなたの町の出身だって聞いたとき、ちょっとびっくりなさったみたい。お母様は娘時代に...でもね!お母様はスペイン系だしちょっと考えが古風なの!」

 

P「...このお城にはいつも来るの?」(ちょっと傷ついたのを隠すように話題を振る)

 

K「パーシーとジャスミンとわたしは毎年夏をここで過ごすの。でも今度の夏,ジャスミンはニューポートへ行くのよ。この秋から数えて1年経ったら、ロンドンの社交場に出るんですって。宮廷に行くことも許されるんでしょうね」

 

P「君は思ってたより物知りなんだね」

 

K「あら!そんなことないわ!!」(大急ぎで叫ぶ)

 

K「そんなふうに考えてもらいたくないわ。ませた少女なんて凄く下品だと思うのよ。わたし絶対ませてなんてない。もしそんなこと言うならわたし泣くわよ」

 

P「そんな意味で言ったんじゃないよ。ちょっとからかってみただけさ」(慌てて修正)

 

K「もし私がませていたら、そんなこと言っても気にしないと思ったからでしょ?

でも本当におませなんかじゃないわ。私とっても無邪気な少女なのよ。煙草なんて吸わないしお酒も飲まないし、詩の他には何も読まないわ!数学だって、化学だって、ほとんど何も知らない!ゴテゴテした服なんか着たことないし、ほとんど何も着てないようなもんよ。ませてるだなんておよそ私には当てはまらないわ。私、女の子って健全な青春を楽しむべきだって、そう考えてんの」

 

P「それは全くその通りさ」

 

(自然な流れで二人がダンスをするシーンへ)

(仮動画より優雅な曲に後程変更します)

 

K「わたし、あなたが好き。

あなた ここにいる間ずっとパーシーと過ごすつもり?それとも私に優しくしてくれる?ねえ、私は生まれてからまだ仲良くしたボーイフレンドなんてひとりもいないの。ひとりで男の子に会うことだって禁じられてるのよ。パーシーは別だけど。わたし、わざわざあなたに会うためにこの林までやってきたの。ここは家の人達があまり来ないところだから。」

 

▶ピータはすっかり嬉しくなってハデスのダンススクールで教わったとおりに腰を曲げてお辞儀した。

 

K「もう行ったほうがいいわ。

11時にお母様と会うことになってるの。

あなた、一度もキスしてくれ って言わなかったわね。私 今時の男の子ってみんなそう言うのかと思ってたわ。」

 

▶ピータは誇らしげに胸を張った。

 

P「そういう奴もいるさ。だけど僕は違う。女の子だってそんなことはしないよ。 ハデスではね。」

 

▶二人は並んで家の方へ歩き出した。

 

(3話おわり)