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DIAMOND SWING#1 台本

ピータTハパーはミシシッピ川沿いの小さな町ハデスに何世代にも渡って名をはせた名門の家の出であった。
ピータの父は数々の激しいトーナメントをえて、アマチュアゴルフのチャンピオンの座を維持した。ハパー婦人はといえば政治評論家であり、その界隈では彼女を知らないものはいないほどである。
そして息子のピータは16歳にもなったばかりだが長ズボンを穿かぬうちからニューヨークで流行っている大抵のダンスならば全てこなしていた。

さて、そのピータTハパーはしばらくの間故郷であるハデスから離れることに相成った。
彼の両親はどうしても、世界で一番金がかかって一番上流の男子校であるボストン近郊に位置するセントマイダス高に息子をやらなければ気が済まなかったのだ。
ピータの両親にとってこの小さい田舎町のハデスなんて才能豊かな愛しい息子にはとてもちっぽけで話にならなかったからである。

そしてついにピータTハパーの出発の日が来たる。

(P母がPにカバンを渡す。)

P父「いつ帰って来ても我が家は大歓迎だからな」

P母「いつまでも暖かい家庭が待ってるんだってことを忘れるんじゃないよ」

P「分かってるよ」

P父「自分がどういう人間でどういう家の出身か忘れないようにな。そうすりゃ何も悪いことなんてできるわけがない。お前はなハデスのハパー家の一員なんだからな。」

(握手)

(p泣きながら街を歩みさる。)
こうしてピータは最後の見納めをすると目的地の方に顔を向けた。
だが振り向く瞬間ハデスの街の灯りがなんと暖かくなんと美しく見えたことか。

学校でのピータの最初の2年間は楽しく過ぎていった。生徒たちの父親は揃いも揃って億万長者で、ピータは夏休みをこれらの上流階級の人たちが集まるリゾート地で過ごしたのだった。
彼は訪問先の家の友達は好きであったが彼らの父親は皆似たり寄ったりで好きになれなかった。

大人1「ピータ君、君の出身地はどこなんだい」

P「ハデスです。」

1「そんなところじゃ結構暑いだろう?」
2「そんな所じゃ結構熱いだろう」
3「そんな所じゃかなり暑いだろう?」
4「ギリシャ神話でハデスは灼熱地獄と呼ばれてるくらいだしね」

P「ハハァ...」

彼らが皆そっくりで同じ冗談を口を揃えて言うものだからピータもウンザリして愛想笑いで返すしかなかった。それにピータは彼らのこの冗談がとても嫌いであった。


2年目の半ば頃パーシーワシントンという名の大人しくてハンサムな少年が彼のクラスに編入して来た。
パーシーは態度も感じも良くセントマイダス校でも目立つほどの身なりをしていた。
だが彼はクラスにあまり馴染まなかった。親しい友人といえばピータTハパー1人だった。
だがそのピータにすら自分の家や家族のことは何一つ言わなかった。
そんなある日。

パ「なぁピータ、夏は西部にある僕の家で過ごさないかい?」

P「いいのか!?君の家に是非行ってみたいな!」

パ「それは良かった!喜んで歓迎するよ。楽しみにしていてくれ」

この誘いはピータの好奇心にとって願っても無い幸せだった。
ピータのまるで夢のような夏はここから始まる。

(空にタイトルロゴ「DIAMOND SWING ~リッツホテルより大きなダイヤモンド~」)

(画面は空から列車に)

P「で臭くってさ〜」

パ「ほんと全くだ。臭いよな~」

P「西部に行くのはとても久しぶりなんだ。到着までまだまだ時間がかかりそうだけど楽しみで仕方がないよ」

パ「僕の父さんはね。世界中で一番の金持ちなんだ」

P「ほぅ?」

パ「とびきりの金持ちなんだよ。」

P「世界年鑑に書いてあったけどアメリカには年に500万ドル以上稼ぐ人が1人と300万以上が4人と…」

パ「はは、そんなの問題じゃないよ。そんなのケチな資本家や雑魚な金持ち、商人や金貸しに過ぎない。父さんだったらそいつらの株を全部買い占めて、それに気がつかないほどさ」

P「でもどうして」

パ「どうして父さんが所得税の長者番付に載らないのか?だろう?そりゃ所得税を払わないからさ。払ったとしてもごく僅かだ。本当の収入の分は全然払わないのさ」

P「凄い金持ちなんだろうね」(あっさり)

パ「嬉しいよ!僕は凄い金持ちが好きなんだ!お金があればあるほどその人が好きになるね。」

P「この前のイースターでマーフィー家に呼ばれたんだけど、マーフィー伯爵は鶏の卵くらいのルビーをいくつも持っていたぜ。それに内側から明かりが灯っている電球のようなサファイアもね」

パ「僕も宝石は好きだな!
もちろん学校の奴らには知られたくないんだが実は僕すごいコレクションを持っているんだ。僕は切手の代わりに宝石を集めていたんでね。
それにダイヤモンドさ!!」

P「マーフィー家にはくるみくらいの大きさのダイヤモンドが…」

パ「そんなのなんでもないさ。
…そんなのなんでもないよ。僕の父さんはリッツカールトンホテルよりもっと大きなダイヤモンドを...持ってるんだぜ?」

(1話終了)

(つづく)